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2008年3月23日 (日)

ダーウィンの悪夢


監督:フーベルト・ザウパー

 アフリカ最大のビクトリア湖は、多様な生物が生息していたことからかつて“ダーウィンの箱庭”と呼ばれていたそうな。その湖に約半世紀前、外来種の肉食魚ナイルパーチが放流されてしまう。
 ナイルパーチはどんどん増えるが、ヨーロッパや日本に高く売れるので、加工工場を作って輸出する。一部の人達はウハウハだ。
 だが大多数の人々には、食べる魚がなくなってしまう。ナイルパーチがみんな食べちゃったからだ。漁師たちはナイルパーチを捕まえるが、それは食用にしない。加工工場に売った方が儲かるからだ。ナイルパーチは現地では口に出来ない高級魚なのだ。
 漁師たちは時々ワニに食われた傷で死ぬ(医者なんかいない)。そうすると残された妻の多くは、食料のために売春する。それでエイズが広まる。もちろん漁師たちの多くもまた、エイズで死ぬ。
 産まれた子供たちはストリートチルドレンになる。
 また女たちの一部は、ナイルパーチを飛行機で運ぶ外人パイロットたち相手に一回10ドルで売春する。よく乱暴される。たまには殺される。
 民衆たちの多くは、ナイルパーチの残骸を食って生き延びている。その残骸を食べられるよう再処理する職につけた人の中には、残骸から発生するアンモニアガスで失明したりする。
 ナイルパーチに頼った経済状態(でも儲かっているのはごく一部だ)。
 これからの未来はもっと暗い。ナイルパーチによる生態系の変化で、ビクトリア湖は水質が汚染されつつあるのだ。いずれはナイルパーチもいない、死の湖になるだろう。
 そうなったら、彼らに残されるものは何もない。売る物もない。食べる物もない。

 本編では、ナイルパーチと交換に何が輸入されているのかも明らかにされている。その品物が、さらにアフリカを貧しくしていることも。

 編集が巧いとかそういうところのない淡々としたドキュメンタリーなのだが、一見の価値はあるだろう。

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